関税定率法・関税暫定措置法・第60回 向け
未出題の新論点不当廉売関税の回避防止—第8条の2を新設
2026年6月1日施行の改正で、不当廉売関税(第8条)の課税回避を防ぐための新規定(第8条の2)が設けられた。第三国経由の迂回輸入や指定国が生産した類似品・部材なども対象とし、不当廉売関税に相当する額の関税を課すことができる。
関税定率法 第8条の2 (施行日: 2026-06-01)
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 内容 | 関税定率法には、第8条の不当廉売関税の課税を回避するために第三国を経由して輸入される貨物や、指定貨物を原料の一部として第三国で生産された貨物に対して関税を課す根拠規定が存在しなかった。そのため、迂回輸入や代替品・部材への切り替えによる課税逃れに制度的に対応できない状況にあった。 | 第8条により不当廉売関税が課されている場合に、次のいずれかの貨物の輸入が本邦産業に実質的損害を与え又は与えるおそれがあるときは、不当廉売関税に相当する額の関税を課することができる。①指定貨物供給国等から輸出された貨物または同国を原産国とする貨物を原料として第三国で生産された指定貨物(原料価額の割合が財務省令所定を超えるもの)、②指定貨物供給国等が生産した指定貨物と性質・形状が近似し用途が直接競合する類似品、③指定貨物の供給者が輸出・生産した指定貨物の原料・材料となる貨物。指定貨物の輸入量減少等の事情が認められない場合や課税回避目的でないと認められる場合には適用しない(除外要件)。 |
不当廉売関税(第8条)は不当廉売された輸入品から本邦産業を保護する制度だが、指定国から直接輸出するのではなく第三国を中継させたり、指定貨物の原料を使って第三国で加工してから輸入するなど、課税の網をすり抜ける手法が問題となっていた。今回新設された第8条の2は、こうした迂回行為に対して不当廉売関税と同額の関税を課すことができる根拠規定である。
対象となる貨物は三つの類型に整理される。第一は、指定貨物供給国等を原産国とする貨物を原料として第三国で生産された指定貨物(原料価額の割合が財務省令で定める割合を超えるものに限る)。第二は、指定貨物供給国等が生産した、指定貨物と性質・形状が近似し用途が直接競合する類似品。こちらは第三国産ではなく指定国自身が生産したものである。第三は、指定貨物の供給者が輸出または生産した、指定貨物の原料・材料の一部となる貨物である。
適用には本邦産業への実質的損害またはそのおそれが必要であるほか、指定貨物の輸入量減少等の事情が認められない場合や課税回避目的でないと認められる場合には適用しない。この「適用しない」は積極的な課税要件ではなく除外要件として規定されており、除外事由がなければ原則として課税対象となる構造になっている。
受験対策としては、本条の発動前提が第8条の不当廉売関税の存在であること、および①の第三国産と②の指定国産という産地の違いを正確に押さえることが重要である。
②の類似品は指定国自身が生産したもの。①の「第三国で生産」と混同しないこと。
「適用しない」は除外要件。課税を発動するための積極的な要件ではない。
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